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【就業規則の焦点!】 65歳までの雇用と年金<7>

68歳まで年金支給開始を引き上げる? これが政府のホンネ

総務部長 年金なんて、将来本当に出るのでしょうか?
北見 確かに不安ですよね。政府は、次のような報道にあるように68歳支給にしたいのがホンネのようです。このあたりは政治の焦点になりそうです。

年金68歳支給を目指す政府だが…
厚労省は、厚生年金の支給開始年齢の65歳への引き上げについて、4年前倒しするなど3通りの案を社会保障審議会年金部会に提示した。うち2案は、原則65歳から支給の基礎年金も含め、支給開始年齢を68歳に引き上げる案とセットになっている。長寿で年金受取期間が長くなる中、給付費を抑え年金財政の破綻を防ぐ狙いがあるが、老後の生活設計を直撃する中身だけに加入者の反発は避けられそうにない。
会社員が加入する厚生年金は現在、3年に1歳ずつ、支給年齢を65歳まで引き上げている途中だ。基礎年金相当の定額部分の年齢引き上げを平成25年度(女性は30年度)に終え、報酬比例部分は37年度(同42年度)までに引き上げる計画だ。
厚労省が示した案は、(1)この引き上げスケジュールを「2年に1歳」ずつに前倒しし65歳に引き上げる(2)現在の「3年に1歳」の引き上げを維持しつつ、基礎年金も含め支給開始を68歳に引き上げる(3)「2年に1歳」のペースで、基礎年金も含め支給開始を68歳に引き上げる-の3案。
女性の報酬比例部分の引き上げも前倒しで行うことで、「2年に1歳」ペースで33年度、「3年に1歳」の場合でも37年度から男女とも65歳支給へと移行する。いずれも年金受給年齢を遅らせて給付費を抑制しようという狙いがある。
 「2年に1歳」ペースに早めると、65歳への引き上げ完了は男性で4年、女性で9年前倒しとなり、支給開始年齢が61歳から62歳に引き上がる28年でみると、厚生年金の給付費は約8千億円縮小する。(2)(3)案のように基礎年金の支給開始年齢を68歳に引き上げた場合には、支給開始年齢を1歳引き上げるごとに公費支出を5千億円削減できる。
だが、65歳への引き上げを「2年に1歳」に早めると、61歳から年金を受け取れるはずだった現在57歳の男性は受給が1年遅れて62歳からとなる。51~56歳も男性で受給開始が今より1、2年ずれ込むため、社保審年金部会では「老後の生活設計に影響する」との批判が相次いだ。
支給開始年齢自体を68歳に段階的に引き上げる場合はどうか。
 (2)案では、年金支給開始年齢は基礎年金・厚生年金ともに現在47~48歳の男女で66歳、45~46歳で67歳、44歳以下で68歳に引き上げられる。(3)案でも現在53歳で66歳、52歳で67歳、51歳以下で68歳からの支給となる。
3案とも、受給者が多く支出増の大きな要因とされている団塊の世代(現在62~64歳)に影響は出ず、50代以下の若い世代にしわ寄せがいく中身だ。

[産業経済新聞社 2011年10月26日(水)]

年金68歳支給案 見送りへ
 民主党厚生労働部門会議年金作業チームの11月22日の会合。座長の和田隆志衆院議員はこう切り出した。「第一の前提として、支給開始年齢の引き上げは見送りでいいですね」
 政府・与党が進める社会保障・税一体改革で年金制度改革を担う同チームではこの日までに、厚生労働省が示した厚生年金の支給開始年齢の引き上げ案に、「一層の引き上げを議論する状況ではない」「雇用対策の充実が先だ」など、反対が相次いでいた。和田氏が議論集約の最初に、今回は引き上げを見送ることを確認したのもそのためだ。
 厚労省が10月11日の社会保障審議会年金部会に示した三つの引き上げ案は、大きな反響を呼んだ。すでに60歳から65歳への引き上げを段階的に実施しているにもかかわらず、さらに68歳まで引き上げたり、引き上げペースを速めたりする内容だったからだ。
 日本ほど高齢化が進んでいない欧米でも、米国とドイツは67歳、英国は68歳への引き上げをすでに決めている。同チームも最終的には、引き上げを完全に葬り去ることはせず、「中長期的課題」と位置づけた。

[読売新聞社 2011年12月6日(火)]

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